遂に長男の中学校の野球が終わった。無事に中学野球を引退した。

最後の試合で初本塁打

これは、長男にとって家族にとってとても大きなライフイベントになった。

まずは、小学校5年生から振り返りたい。
小学校5年生の時、学校とのトラブルに見舞われた。これは色々な要素が組み合わさったことであって単に学校が悪いとか誰が悪いとかではない。しかし、長男にとっては非常に困難なトラブルだった。
結果的にはこのトラブルは小学校6年生で乗り越えたのだが、まだまだ完全に乗り越えられていなかった部分があったように思う。
そのときに一つの目標となったのが、「中学校に入ったら野球部に入る」だった。この目標が出来てからは長男は見る見る勢いを取り戻し、最高の形で小学校を卒業することが出来たのだった。
しかし、中学校の野球部はほぼ全員が少年野球の経験者である。長男は水泳を習っていたので小学生では野球をせず、水泳を全うしてから野球をすることに決めた。そこで、親子で土日は毎週近所の大きな公園で早朝から朝練をすることにした。雨が振らない限り、どんなに寒くても雪の積もった日でも暑い酷暑の時期も朝から練習した。朝じゃないと公園でノックができないからだ。人が増えるとノックはできない。だから人のいない早朝にノックをした。それが後の長男のポジションが決まる要素になるとは思っていなかった。

中学校に入学してからは、少々過酷な練習の日々が続いた。
まず驚いたのは休みが無いことだ。それに一日の拘束時間がとても長い。
週に一回休みがあると言うがそれは学校で授業がある日で完全に休みと言うわけではない。拘束時間で言うと、土日などは朝の7時から家をでて帰って来るのは19時。12時間の拘束だ。とても勉強をしろとは言える状況ではなかった。
特に1年生の時は体力的にも厳しく塾なども度々休んだ。早生まれで身体が小さいことも関係したかもしれない。でも長男は大好きな野球の日々で大人の心配をよそに野球を楽しんでいた。苦しい時期もあったかもしれないが野球に関して弱音を吐くことは殆どなかった。

いよいよひとつ上の先輩たちが引退し長男たちの世代の時代が来た。
新人戦あたりで長男がレギュラーの当落線上であることは認識していたので、なんとか出場機会が少しでも増えればいいな、そんな期待を抱いていた。
全くの素人だった長男がレギュラーの当落線上にいること自体が奇跡だとも思った。
なんと言ってもレギュラーが難しい理由が未経験とならんでもう一つあった。それは早生まれだ。1月後半生まれなので、まだまだ小さい。しかも、僕も低身長なので長男もずっと背の順は前のほうだ。これはなかなかのハンディキャップだったと思う。実際、レギュラーの中ではダントツに背が低く、一番チビだった。
それでも、実際蓋を開けてみると公式戦初戦からセンターを守りいくつかの途中交代はあったものの、公式戦全試合出場と言う結果になった。本人の頑張り以外には説明がつかないと思う。

新しいチームになった前半は、どうにもならないくらい弱かった。実際、公式戦は6連敗をしている。
そこから徐々にチームがまとまって行き、最終的には17勝14敗と勝ち越して終了できたのだった。
一番のチビにも関わらず先生がレギュラーとして使い続けてくれたおかげで、公式戦でヒットを打つようになってきた。練習試合ではそれほど打たないものの、公式戦ではコンスタントにヒットを打つのが長男の特徴のひとつだった。勝負強いのかどうかわからないが、大事な場面でヒットを打つので周りの保護者さんから声をかけてもらえる事も増えて嬉しい限りだった。

ここで、親が野球を経験せずに子供に野球をやらせる難しさを話しておく。
正直言ってほとんどがお父さんが野球をやっている子たちなので、当然親は野球に詳しい。お母さんたちも少年野球からずっと見てきているので野球に詳しい。
それに引き換え僕は野球は大好きだしプロ野球もそれなりに見るが、やっぱり素人には限界があった。正直、話についていけない。すなわち仲良くなりにくいのである・・・。これはかなり厳しい。ウチの部活はそれほど保護者同士の交流は多くなかったので幸いだったが、交流が多いとさらに厳しかったのではないかと思う。でも、未経験でやってる長男に比べれば・・・と、なんとか頑張ったつもりだ。

年が開け春が来ると徐々に終わりが見えて来て寂しさを感じるようになった。
公式戦も少なくなって来るがチームはまとまってきて強くなっていった。こういう感覚というのはもしかしたら初めてだったかもしれない。僕は剣道をやってきたが、チームが1年をかけて目に見える形で強くなっていく姿を感じた記憶があまりなかった。自分の息子の野球でそれを感じ取れたのは幸せなことだと思う。

さぁ、いよいよ最後の公式戦中総体。
怪我もなくここまでこれて本当に良かったとまずは思った。
区大会予選は2連勝で難なく突破。
市大会出場をかけてのトーナメント1戦目はIヶ丘中学。
ここで、すごいことが起きる。
なんと、我チームは1安打で勝利した。その1安打が長男のタイムリーだった。
目の前でそのヒットを見せられてなかなかの感動だった。本人も全身で喜びを表現していた。本当に本番に強い男だ。
次戦はI中学校。勝てば決勝だったがあえなく力負け。このことにより、第3代表決定戦を戦いそれに勝ち、3位で市大会出場を決めた。

市大会は雨で順延ばかりで球場での試合が出来ずにいつもの中学校での試合になった。1回戦はH中でこれも難なく勝利。これも先制のスリーベースを打って勝利に貢献した。本当に本番に強い男だ。
次戦はH中学校。市では強豪校。
ここで、最後の奇跡が起こる。
1打席目の初球。相手投手は左投手。バッターボックスからセンターに向けて緩い風が吹いたと同時に、長男の振ったバットにボールが当たってふわりと上がった球は風に乗って飛んでいき校舎にあたった。そう、なんとホームランを打った。練習試合でランニングホームランはあったと聞いていたが、公式戦でセンターオーバーのホームランを打つとは。未経験の長男が最後の最後に自分で奇跡を起こしてくれた。これには正直、驚愕と感動で夢を見ているようだった。
結局この試合は僅差で負けてしまい、長男の中学野球は終わった。

みんなありがとう!

試合後はみんな笑顔だった。最高の笑顔だった。悔いがなかったのだと思う。
最後の相手が強豪チームで良かったと思う。

こうして、僕も長男への野球の直接的なサポートは終了した。小学校5年のトラブルもすべて消えて無くなった。野球がすべてを変えてくれて最高のギフトまで最後に与えてくれた。本当に奇跡というか言葉では言い表せない感動と余韻が残った。
本当に楽しい2年半だった。

関係者の皆様ありがとうございます。
家族のみんなありがとう。
ありがとう長男!おめでとう長男!